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斜歯忍軍・秘匿計画


|2025年08月27日

斜歯忍軍・秘匿計画 アイキャッチ画像

『シノビガミ 流派ブック 斜歯忍軍』に収録予定であったが████の事情により、見送られた「斜歯忍軍・秘匿計画」のひとつがこの度、発見された。以下、その文面を公開する。

■スプラインの栄光と崩壊

現在、斜歯忍軍で使われている主なオンラインコミュニケーションツールは、独自に作成されたビジネスチャットの類です。「helicl」と書いて「ヘリカル」と読む名があり、超強力な暗号化機能を誇っています。
しかし、斜歯のスタンダードがヘリカルに移る前、90年代のから2010年代中期まで使われていたシステムがありました。それがスプラインです。
これは斜歯忍軍の情報技術者が遊びで作ったネット掲示板が基盤となっていました。ユーザー登録をして、さまざまなトピックごとに別れたスレッドに情報をポストしていく、なんだか当時っぽいやつです。スプラインでは、忍務についている工作員同士の情報交換から、フロント企業の上司の愚痴、いまいち高速機動の調子が悪いといった悩み相談など、無数の話題が飛び交っていました。
しかし、ある異変がスプラインを荒廃させてしまいます。
それは猫の画像でした。
猫好きの忍者が猫自慢スレッドに投稿したその画像は、あまりに愛らしい猫が写っていたため、たちまちスプライン内でブームを引き起こしました。面白いものやさらに可愛くしたもの、人生についての名言を喋らせているものなど、改変画像が次々と作成され、あらゆるスレッドに投稿されました。
そして次第に、スプライン内でのテキストコミュニケーションの割合が低下していきました。人々は猫画像で意思を伝え、それに対するリプライも猫画像で行われました。スプライン利用者は独自の猫画像言語のようなものを構築し始め、やがてすべてのスレッドからテキストが消えました。それぞれ違う猫の画像が延々と並ぶ光景は、新規利用者を震え上がらせるのに充分だったといいます。
事ここに至って、黒潮一人はスプラインの閉鎖を決定し、ヘリカルへの移行、そして猫画像のアップロード禁止を定めます。ヘリカルに猫の画像が上げられなかったり、ユーザーアイコンに猫を使えないのには、こうした理由があったのです。
ちなみに猫画像言語ですが、特定の年代の斜歯忍軍の構成員しか理解できない暗号として、いまでも表の世界の各種プラットフォームで使われることがあります。あなたが日常的に目にする猫の画像は、ただ可愛いというだけのものではないのかもしれません。

シノビガミ 流派ブック 斜歯忍軍
版型■B5版
予価■1,800円+[税]
著■河嶋陶一朗/冒険企画局 カバーイラスト■七原しえ
発行■新紀元社
ISBN978-4-7753-2100-3